2016710[日] 19:30

はちわるお誕生日会

ケツのレプリカ

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詳細

はしがき

私は、その男の写真を三葉、見たことがある。
一葉は、その男の、学生時代、とでも言うべきであろうか、二十歳前後かと推定される頃の写真であって、その子供が大勢の男のひとに取りかこまれ、(それは、その出で立ちや表情、隠すことのできない雰囲気から世に言う”キモオタ”たる種の男たちかと想像される)大学のキャンパスらしきところに、裏地がチェック地になっている太めのジーンズを穿き、明らかにオーバーサイズのTシャツを纏い、首を三十度ほど左に傾け、醜く笑っている写真である。醜く? けれども、鈍い人たち(つまり、美醜などに関心を持たぬ人たち)は、面白くも何とも無いような顔をして、

「シリアルキラーっぽい」「私服のセンスがゼロ」「死にそう」

と第一印象でものを言っても、まんざら間違いではないくらいの、いわば通俗の「ガリガリクソキモオタク」みたいな影もその男の笑顔に無いわけではないのだが、しかし、いささかでも、美醜に就いての訓練を経て来たひとなら、ひとめ見てすぐ、

「絶対に死ぬほど性格悪い」「一周して逆に服をどこで買ってるのかわからない」「死にそう」

とすこぶる不快そうに呟つぶやき、毛虫でも払いのける時のような手つきで、その写真をほうり投げるかも知れない。
まったく、その男の笑顔は、よく見れば見るほど、何とも知れず、イヤな薄気味悪いものが感ぜられて来る。どだい、それは、誕生日に周囲から祝ってもらえるような男の笑顔でない。この男は、少しもモテそうな感じがしないのだ。その証拠には、この男は、ニンテンドーDSを固く握って立っている。人間は、ラブプラスに、寧々さんに心酔しながらモテるものでは無いのである。猿だ。自…を覚えた猿だ。ただ、顔に醜い皺しわを寄せているまま、家に帰ってすることを考えているだけなのである。「そのまま童…こじらせて脳炎起こして死ね」とでも言いたくなるくらいの、まことに奇妙な、そうして、どこかけがらわしく、へんにひとをムカムカさせる表情の写真であった。私はこれまで、こんな不思議な表情の男を見た事が、いちども無かった。



第二葉の写真の顔は、これはまた、びっくりするくらいひどく変貌していた。青年の姿である。大学時代の写真か、社会人時代の写真かはっきりしないけれども、とにかく、おそろしく剛力彩芽似の青年である。しかし、これもまた、不思議にも、生きている人間の感じはしなかった。ヘッドホンを付け、「ユニセッ…スの履き違え」としか形容のしようのないシャツに袖を通し、MIDIコントローラーのつまみをひねり、そうして、やはり、笑っている。こんどの笑顔は、童…シコ猿の笑いでなく、かなり巧みな微笑になってはいるが、しかし、人間の笑いと、どこやら違う。血の重さ、とでも言おうか、生命の渋さ、とでも言おうか、そのような充実感は少しも無く、それこそ、鳥のようではなく、羽毛のように軽く、ただ白紙一枚、そうして、笑っている。つまり、一から十まで造り物の感じなのである。キザと言っても足りない。軽薄と言っても足りない。ニヤケと言っても足りない。おしゃれと言っても、もちろん足りない。しかも、よく見ていると、やはりこの刃牙似の青年にも、どこか怪談じみた気味悪いものが感ぜられて来るのである。私はこれまで、こんな不思議な青年を見た事が、いちども無かった。



もう一葉の写真は、最も奇怪なものである。まるでもう、年の頃がわからない。頭はいくぶん白髪のようである。それが、ひどく汚い部屋(部屋の壁が三箇所ほど崩れ落ちているのが、その写真にハッキリ写っている)の片隅で、パソコンのモニタを覗き込み、こんどは笑っていない。どんな表情も無い。謂わば、坐ってモニタを覗きながら、自然に死んでいるような、まことにいまわしい、不吉なにおいのする写真であった。奇怪なのは、それだけでない。その写真には、わりに顔が大きく写っていたので、私は、つくづくその顔の構造を調べる事が出来たのであるが、額は平凡、額の皺も平凡、眉も平凡、眼も平凡、鼻も口も顎あごも、ああ、この顔には表情が無いばかりか、印象さえ無い。特徴が無いのだ。たとえば、私がこの写真を見て、眼をつぶる。既に私はこの顔を忘れている。部屋の壁や、パソコンは思い出す事が出来るけれども、その部屋の主人公の顔の印象は、すっと霧消して、どうしても、何としても思い出せない。画にならない顔である。漫画にも何もならない顔である。眼をひらく。あ、こんな顔だったのか、思い出した、というようなよろこびさえ無い。極端な言い方をすれば、眼をひらいてその写真を再び見ても、思い出せない。そうして、ただもう不愉快、イライラして、つい眼をそむけたくなる。
所謂いわゆる「死相」というものにだって、もっと何か表情なり印象なりがあるものだろうに、人間のからだに駄馬の首でもくっつけたなら、こんな感じのものになるであろうか、とにかく、どこという事なく、見る者をして、ぞっとさせ、いやな気持にさせるのだ。私はこれまで、こんな不思議な男の顔を見た事が、やはり、いちども無かった。



お誕生日会を自分でやります。
ご都合よろしければぜひ遊びに来てくださいね。

あと、7月10日は第24回参議院議員通常選挙です。
はちわるは死ねと思っても日本死ねとか言うのはやめて選挙には行きましょうね。



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コメント
  1. その日まで生きてたら参加します!
    ケツのレプリカ 3068日前 
  2. 洒落怖か何かですか?私、興味あります!
    ✩あゃん✩ 3068日前 
  3. はちわる長寿であれ〜〜!
    リンクスリターンズ 3068日前 
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